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議会ウォッチ 2026-03-03

津波避難「原則徒歩」に待った ── 憲法が問う生存権、避難の丘は6,400人分

#防災
3行でわかる要点
  • 一律「原則徒歩」とされてきた津波避難の方針に、憲法が保障する生存権・財産権の観点から疑問を投げかけました。車で逃げるべき人をどう線引きするか、避難の丘の備蓄倉庫は何人分か、新シミュレーションを機に市の答弁を追いました。

竹中の質問

新規事業である津波避難行動シミュレーションの予算について伺いました。これまでも、仙台防災枠組の名を冠する本市の一律「原則徒歩」という津波避難の在り方について疑問を呈してきましたが、能登半島地震でも車両避難が多く、カムチャッカ半島地震の津波警報でも石巻市で大渋滞が発生しています。自治体によっては一律原則の見直しも図られている中、2026年度予算に計上された新たなシミュレーションはどのような手法で行われるのか、これまでのシミュレーションとの違いを尋ねました。

その上で、津波避難における「原則徒歩」の方針を、最も根本である憲法の観点から質しました。憲法第25条が保障する生存権について、高齢者・障害者・乳幼児を抱える家族や、吹雪・大雪・極寒の夜間などでは、徒歩避難がかえって命に関わる場合があるにもかかわらず、行政が一律に徒歩を原則として強いることは生存権を脅かす可能性があるのではないかと問いました。また憲法第29条の財産権についても、市民にとって高額なローンを組んで購入したマイカーは重要な財産であり、避難訓練等で「車を置いて逃げろ」と指導することが財産権の侵害にあたる可能性について、当局の認識を尋ねました。

行政がなすべきは財産権の制限ではなく、命も財産も守る仕組みづくりだとの立場から、車で逃げるべき人を「身体的要因」(高齢者・障害者・乳幼児を抱える家族など要支援者)、「地理的要因」(近くに高い建物がない地域の住民)、「環境的要因」(積雪時・豪雨時・夜間など気象条件による避難者)の3つに整理して明確な区分を求めました。あわせて、大切な人を迎えに行く、車を大事に思う、車で逃げてはいけないことを知らなかった、ペット同伴のため車でしか逃げられないといった「心理的・社会的要因」で車避難を望む人々も一定数存在すると想定し、シミュレーションではこうした各要因に基づき車両数が道路容量にどれだけの負荷を与えるか具体的に検証すべきと提案しました。

ハード整備の具体例として、ボトルネックとなる交差点の立体交差化やラウンドアバウトの整備、対向車線を含め全車線を避難方向にする「コントラフロー」の事前計画化を挙げ、特に東部復興道路について海側から西へのアンダーパス・立体交差を検討すべきと提案しました。また、避難の丘に整備される備蓄倉庫について、トイレの有無や想定内容、そして避難の丘への最大避難想定人数である6,400人分をカバーできる規模で整備されるのかを確認しました。

最後に、シミュレーション結果は本市の津波避難計画の集大成としてまとめるべき布石になるとの考えを示し、次期総合計画や道路整備の予算編成に直結させ、必要なハード整備をためらわずに実行する覚悟があるか、市長に尋ねました。

市の答弁

防災・減災部長

平成25年の避難行動シミュレーションでは、要配慮者とその支援者以外の方が自動車で避難した場合、津波到達までに避難が間に合わないという結果になったことを踏まえ、本市では原則徒歩で避難いただくこととしている。国の指針においても津波災害からの避難方法は原則徒歩とされており、当該指針とも合致しているものであり、避難される全ての方の命を守るための適切な対応と考えている。

防災計画課長

平成25年の避難行動シミュレーションでは専門家の意見を伺いながら季節や時間帯、避難手段等の条件を設定して実施した。新たなシミュレーションではこうした手法を基本としつつ、最新の津波浸水想定区域や道路の状況等を踏まえ、人流データも活用しながら、より精度の高いものとなるよう取り組んでいく。前提条件では一定程度自動車による避難も考慮する予定であり、様々な状況による道路の渋滞等も具体的に再現した上で検証を行う。前提条件の設定に当たっては季節や個人の身体的状況、避難施設の立地等の条件を考慮するほか、専門家の意見も伺いながら、有益な検証につなげていきたい。

東部復興道路は、内陸の居住地等を津波から守るため海面からの高さ7メートルを確保しているかさ上げ道路であり、最大級の津波にも耐えるため立体交差とせず、水路にもゲートを設置して津波が内陸に流入しない構造としている。こうしたことから、現在のところ立体交差を導入することは難しいと考えている。

来年度から整備を進める予定の避難の丘の備蓄倉庫は、平家建てを想定しており、屋上部分にも避難できる構造にする。備蓄物資は飲料水のほか、暑熱対策としてのネッククーラーや寒さ対策としてのアルミシートに加え、携帯トイレを使用できる環境についても検討を進めている。倉庫の広さは6,400人分のものを備蓄できるようなサイズを考えており、実際の人の張りつき状況等を踏まえながら必要であれば6,400人分備蓄していく考えである。ただし暑熱対策として想定している飲料水やネッククーラーといった物資は、倉庫内に6,400人が入って涼しい状況をつくるという趣旨のものではない。

津波避難時に走行方向を内陸側に限定するコントラフローは、迅速な避難に資する可能性もある取組と考えるが、車両通行に関わる事項であり、緊急時にも安全に通行していただくためには国として一定の対応が必要であるものと認識している。今般実施予定の津波避難行動シミュレーションでは、その結果や避難行動などを動画等により視覚的に分かりやすく伝える方法を検討していきたい。

市長

本市では東日本大震災の教訓を踏まえ、津波の多重防御や津波避難タワーなどの整備に加え、避難行動の周知啓発を図るなど、ハード・ソフト両面で津波対策に取り組んできた。次年度から実施する津波避難行動シミュレーションでは、最新の津波浸水想定区域や、沿岸部でにぎわい創出が図られている状況なども踏まえ、専門家の知見をいただきながら検討を行い、本市の津波対策を強化していくことで、市民の皆様の安心・安全の確保を図っていきたい。

この記事は、仙台市議会の議事録をもとに要点をまとめたものです。実際の発言全文は議会ウォッチでご確認ください。

一次情報:2026-03-03 令和8年度 予算等審査特別委員会(第7日目)

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