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議会ウォッチ 2026-03-12

336億円がなぜ646億円に ── 為替110円が159円になった5年間と、複合施設への賛成討論

#音楽ホール#まちづくり
3行でわかる要点
  • 「一納税者として怒りや戸惑いを感じるのは当然」。そう述べた上で、それでも令和8年度予算に賛成する理由を、為替・資材費・他都市の建設費という数字で示した討論です。

竹中の討論

公明党仙台市議団の竹中栄雄です。第十四号議案 令和8年度仙台市一般会計予算に対し、賛成の立場から討論を行います。

まず前提として、政令指定都市で人口100万人を超える都市の中で、2000席クラスの劇場を持たないのは、全国でこの仙台市だけです。なお、仙台サンプラザは多目的アリーナであり、コンサート形式では1500席程度になりますので除外いたします。浜松、岡山など人口規模が仙台より少ない政令市も、また規模がもっと小さい東北六県の主要都市までもが、2000席クラスのホールを既に整備しております。東北のリーダーを自負する仙台が、政令指定都市の中でも東北の中でも最も低いスペックのまま立ち止まっている。これは都市としての深刻な停滞であります。

しかしながら、建設工事費336億円という試算が、ここ数年で548億円、そのほかこれまでに入っていなかった費用を入れて646億円に修正されたことに対し、一納税者として怒りや戸惑いを感じるのは当然のことであります。最後の最後までコスト削減に挑戦することを求めたいと思います。また、入っていなかった費用が後から後から追加されたことが市民の不信を買ったことに対しては、反省を促すものであります。

その上で申し上げます。2021年、音楽ホール最初の試算時、為替は1ドル110円でした。議会で建設工事費336億円の数字が示されたときも130円、それが今では159円であります。ホールの命である世界最高峰の音響反射板などは、海外からの調達が必須です。さらには、国内の建設資材物価指数、2024年問題による人件費が垂直に高騰しております。建設費に限って比べますと、新しい宮城県民会館、いわゆる宮城県立劇場は2021年当初の予定で250億円でしたが、現在は面積拡大もあるものの503億円と約2倍を予定しています。国立劇場の建て替えも、2021年当初は約800億円でしたが、2回の入札不調が続き、現在の試算は1550億円と約2倍まで来ております。日本の大規模な公共建築は、本市並み以上の修正を余儀なくされているのです。本市の建設費はこれらの情勢と比べれば抑制的であり、品質と安全性を今の日本で死守するために必要な、やむを得ない費用と考えます。ここで高いからと立ち止まればどうなるか。5年後にはさらに物価高騰が進み、さらなる高額な請求書が届くことは火を見るよりも明らかです。今が、これから先の未来において、この施設を最も安く手に入れられる最後の日なのであります。

県も建てるのだから一つでいいという議論もあります。しかしながら、複合施設が開館する2031年には、仙台市民会館は築58年を迎えます。戦災復興記念館は築50年、さらにイズミティ21は築44年、日立システムズホール築41年、仙台サンプラザ築40年。これらはいつまでもつのでしょうか。楽都、劇都仙台から主要な文化施設が次々と消えていく、この文化の空白をどうするのでしょうか。政令指定都市の多くは2000席クラスのホールを複数持ち、見事に使い分けております。過剰な二重投資などではなく、むしろ多様な市民活動や国際公演の需要を考えれば、これこそが東北の首都として最低限必要な文化のセーフティーネットであると考えます。

さらに、仙台市が目指すホールは決定的に質が違います。サラウンド型で有名なサントリーホールも札幌Kitaraも最高の音響ですが、実は本格オペラもバレエもできません。舞台装置を設置できないからです。それがクラシック専用ホールという宿命なのです。しかし本市が予定しているこのホールは、最高峰の響きを放つコンサートホールでありながら、同時にプロセニアム型という、世界のオペラやバレエを完璧に上演できる巨大な可変機構を併せ持つのであります。この規模では国内初の挑戦であり、世界でも極めてまれです。世界中の芸術家が「仙台でしかできない表現がある」と注目する場所になり得ます。さらには、ルーブル美術館の世紀の大規模改修プロジェクト「ルーブル新ルネサンス」のファイナリストにもなっている藤本壮介氏の建築という地力と相まって、仙台のブランド価値を世界基準へと押し上げる、数百年の価値を生み続ける投資なのであります。

最後に、本事業の核心である震災メモリアルと音楽ホールの複合化についてです。人類最古の楽器は、数万年前の埋葬地から発見されています。言葉で処理し切れない不条理な死に直面したとき、人類が編み出した最古の精神的なテクノロジー、それこそが音楽でした。古代ギリシャの悲劇のコロス、モーツァルトのレクイエム、我が国の挽歌、そして東日本大震災の被災者に希望を送ったのも、ジャンルを問わない音楽、舞台芸術であったことはご存じのとおりです。また、震災メモリアルにおいて記録・アーカイブは、時間の経過とともに客体化され、風化を免れません。しかし、そこに日常的に音楽が鳴り響き、人々が集う空間が重なれば、震災の教訓は、単なる知識としての脳の記録から、共鳴を伴う体の記録へと転換されます。鎮魂の場と文化芸術の場を融合させること。それは悲劇を過去のつらい記憶として封じ込めるのではなく、明日を生きる能動的な希望へと昇華させるための、文明が生み出した高度な知恵であると確信をいたします。1000年に一度の震災と芸術、建築、文化が一体となった施設が、将来の市民から称賛されていることを信じ、賛成討論といたします。

この日の記録について

この日の発言は、令和8年度仙台市一般会計予算(第十四号議案)に対する賛成討論です。討論は議案に対して議員が賛否の理由を述べるもので、市側の答弁を求める質疑ではありません。そのため、この記事には「市の答弁」の項目はありません。

この記事は、仙台市議会の議事録をもとに要点をまとめたものです。実際の発言全文は議会ウォッチでご確認ください。

一次情報:2026-03-12 令和8年第1回定例会(第7日目)賛成討論

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