- •◯十五番(竹中栄雄)公明党仙台市議団の竹中栄雄です。議長のお許しをいただきましたので、第十四号議案令和八年度仙台市一般会計予算に対し、賛成の立場から討論を行います。
◯十五番(竹中栄雄)
◯十五番(竹中栄雄)公明党仙台市議団の竹中栄雄です。議長のお許しをいただきましたので、第十四号議案令和八年度仙台市一般会計予算に対し、賛成の立場から討論を行います。
政令市百万人を超える都市の中で二千席クラスの劇場を持たないのは、全国で唯一、この仙台市だけという問題があります。なお、仙台サンプラザは多目的アリーナであり、コンサート形式では千五百席程度になるので除外をいたします。
翻って、浜松、岡山など人口規模が仙台より少ない政令市、また規模がもっと小さい東北六県の主要都市までもが、二千席クラスのホールを既に整備しております。東北のリーダーを自負する仙台が、政令指定都市の中でも、東北の中でも最も低いスペックのまま立ち止まっている、これは都市としての深刻な停滞であります。
しかしながら、建設工事費三百三十六億円という試算が、ここ数年で五百四十八億円、そのほか、これまでに入っていなかった費用を入れて六百四十六億円に修正されたことに対し、一納税者として怒りや戸惑いを感じるのは当然のことであります。最後の最後までコスト削減に挑戦することを求めたいと思います。
また、入っていなかった費用が、後から後から追加されたことが市民の不信を買ったことに対しては、反省を促すものであります。
その上で、二〇二一年、音楽ホール最初の試算時、為替は一ドル百十円、議会で建設工事費三百三十六億円の数字が示されたときも百三十円、それが今では百五十九円であります。ホールの命である世界最高峰の音響反射板などは、海外からの調達が必須です。さらには、国内の建設資材物価指数、二〇二四年問題による人件費が垂直に高騰しております。
建設費に限って比べると、新しい宮城県民会館、いわゆる宮城県立劇場は、二〇二一年当初の予定で二百五十億円でした。現在は、面積拡大もありますが、五百三億円と、約二倍を予定しております。国立劇場の建て替えは、二〇二一年当初、約八百億円から二回の入札不調が続き、現在の試算一千五百五十億円の約二倍まで来ております。日本の大規模な公共建築は、本市並み以上の修正を余儀なくされております。
本市の建設費は、これらの情勢と比べれば抑制的であり、品質と安全性を今の日本で死守するために必要なやむを得ない費用と考えます。ここで高いからと立ち止まればどうなるか、五年後にはさらに物価高騰が進み、さらなる高額な請求書が届くことは火を見るよりも明らかです。今が、これから先の未来において、この施設を最も安く手に入れられる最後の日なのであります。
県も建てるのだから一つでいいという議論もあります。しかしながら、複合施設が開館する二〇三一年には、仙台市民会館は築五十八年を迎えます。戦災復興記念館は築五十年、さらにイズミティ21は築四十四年、日立システムズホール築四十一年、仙台サンプラザ築四十年、これらはいつまでもつのでしょうか。楽都、劇都仙台から主要な文化施設が次々と消えていく、この文化の空白をどうするのでしょうか。
政令指定都市の多くは二千席クラスのホールを複数持ち、見事に使い分けております。過剰な二重投資などではありません。むしろ、多様な市民活動や国際公演の需要を考えれば、これこそが東北の首都として最低限必要な文化のセーフティーネットであると考えます。
さらに、仙台市が目指すホールは決定的に質が違います。サラウンド型で有名なサントリーホールも札幌Kitaraも最高の音響ですが、実は本格オペラもバレエもできません。舞台装置を設置できないからです。それが、クラシック専用ホールという宿命なのです。
しかし、本市が予定しているこのホールは、最高峰の響きを放つコンサートホールでありながら、同時に、プロセニアム型という世界のオペラやバレエを完璧に上演できる巨大な可変機構を併せ持つのであります。この規模では、国内初の挑戦であり、世界でも極めてまれであります。世界中の芸術家が、仙台でしかできない表現があると注目する場所になり得ます。
さらには、ルーブル美術館世紀の大規模改修プロジェクト、ルーブル新ルネサンスのファイナリストにもなっている藤本壮介氏の建築という地力と相まって、仙台のブランド価値を世界基準へと押し上げる、これは数百年の価値を生み続ける投資なのであります。
最後に、本事業の核心である震災メモリアルと音楽ホールの複合化についてであります。
人類最古の楽器は、数万年前の埋葬地から発見されています。言葉で処理し切れない不条理な死に直面したとき、人類が編み出した最古の精神的なテクノロジー、それこそが音楽でした。古代ギリシャの悲劇のコロス、モーツァルトのレクイエム、我が国の挽歌、そして、東日本大震災の被災者に希望を送ったのも、ジャンルを問わない音楽、舞台芸術であったことは御存じのとおりであります。
また、震災メモリアルにおいて記録、アーカイブは、時間の経過とともに客体化され、風化を免れません。しかし、そこに日常的に音楽が鳴り響き、人々が集う空間が重なれば、震災の教訓は、単なる知識としての脳の記録から共鳴を伴う体の記録へと転換されます。
鎮魂の場と文化芸術の場を融合させること、それは悲劇を過去のつらい記憶として封じ込めるのではなく、明日を生きる能動的な希望へと昇華させるための文明が生み出した高度な知恵であると確信をいたします。
一千年に一度の震災と芸術、建築、文化が一体となった施設が、将来の市民から称賛されていることを信じ、賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
出典:仙台市議会会議録検索システム(竹中栄雄議員の発言と、それに対する当局側の答弁)