要支援者名簿、マンション管理組合にも「提供は可能」──金庫にしまえば、いざという時に誰の目にも触れない
- •見直された要支援者名簿の、町内会への提供を前にした委員会です。町内会に入らないマンションが増えるなか、マンション管理組合にも名簿を提供できないかを質し、市は「提供は可能」と答えました。同意しなかった人へのフォロー、個人情報の管理、高齢化する町内会の負担についても問いました。
竹中の質問
見直された要支援者名簿の地域への提供について、一連の質問をしました。まず、最近は町内会に加入しないマンションも多くなっており、町内会員でもないマンション住民の名簿が町内会に回ってきても、オートロックなどがあって対応が非常に難しいと指摘しました。各マンションには管理組合があるとして、管理組合に情報を提供することは考えられないかを尋ねました。
さらに、自身のマンションの管理組合でも独自に要支援者名簿を作っていることに触れ、町内会に回ってくる名簿とマンションの情報が違うものになると後々難しくなると述べました。仙台市マンションの管理の適正化の推進に関する条例も制定されたところであり、もっとマンション管理組合と連携を取ってほしいと求めました。今回示された中に「マンション管理組合」という名前が無かったことから、今後しっかり定義するなどの対応も求めました。
次に、今回の見直しで、市が保有する要介護度や障害の情報をもとに対象者を自動で名簿に登録する方式となり、確実な把握が期待される一方で、本人の同意があった方のみとされている点を取り上げました。同意書を提出していない人や、誤って「同意しない」と回答してしまった人の中にも、災害時のリスクが高いと想定される場合が出てくるとして、市としてどのようにアプローチ・フォローアップしていくのかを尋ねました。
名簿には個人情報が含まれて守秘義務が課されており、手引の「よくある質問」でも、故意や重大な過失による漏えいの際には損害賠償責任を問われる可能性が示されていると指摘しました。町内会の役員にとってはプレッシャーとなり、名簿を受け取りたくない、あまり関わりたくないという町内会が出てくることを懸念し、不安を払拭するための説明や、情報管理に関する研修・マニュアルをどう行うのかを尋ねました。一方で、個人情報だからと金庫に鍵をかけてしまっておくと、いざ震災が起きた時に誰の目にも触れずに終わってしまう可能性があるとも述べました。自身のマンションの避難訓練でも、マニュアルを見ると怖くなって、鍵を開けられる人をごく少数に限定してしまうとして、それでは本当にいざという時に誰も助けに行かない可能性があると指摘しました。将来的には、パスワードなどで保護されながら、いざという時には誰もがアクセスできるようなデジタルツールの導入も考えるべきではないかと提案しました。
マニュアルには平時にお願いしたいことが幾つか書かれ、声がけや避難支援の方法の検討など様々なお願いがされているものの、現実には町内会の皆さんもかなり高齢になり、高齢の方が高齢の方を助ける構図になっていること、民生委員も非常に不足していることを指摘しました。今回の名簿には要介護度や障害の種類などの詳細が記載されるため、「身体障害1級」「音声言語障害」「そしゃく機能障害」「たんの吸引が必要」といった記載を見た普通の町内会員は、本当に助けられるのかと不安を深めるのではないかとして、市としての支援や相談窓口を尋ねました。
最後に、町内会は本当に大事な組織であり、今回の名簿の配付は町内会に最後の助けをお願いするものだと述べました。町内会に入らないマンションや住民が増えて構成員が少なくなる中で、さらにお願いをしていく以上、町内会をどう強くし、どう増やしていくかを市は真剣に考えなければならないと主張し、具体的なサポート策を尋ねました。
市の答弁
防災・減災部長
今年(2026年)7月の提供では、旧名簿の提供先と同様に、単位町内会へ提供すると答えました。その上で、市の地域防災計画では避難支援者等関係者の範囲を、地域団体等をはじめ、地域包括支援センター、消防機関、警察、その他の避難支援等の実施に携わる関係者としており、管理組合はこの範囲に入るものとして「提供は可能」だと答えました。
マンションの防災力向上に向けては、都市整備局を中心に市の手引の改定やセミナー等を実施することとしており、そうした機会も活用するなど、庁内連携により本制度の周知を図りたいとしました。
防災計画課要配慮者避難支援担当課長
同意の意思表示がされていない方には、毎年度、改めて制度の案内を送付する予定で、今年度も年末の実施を予定していると答えました。「同意しない」と回答した方で支援が必要な方については、こうした機会を捉えて把握に努めながら、必要な声がけなどを行いたいとしました。
名簿の管理については、不特定多数の目に触れない場所での保管、共有を必要最小限にとどめること、不用になった名簿の適切な廃棄などを配付する手引に記載していると答えました。あわせて、こうした点に留意しながら地域の実情に合わせて検討し、適切に管理してもらえるよう説明会で話しているとし、今後も様々な機会を捉えて丁寧に説明するとしました。
デジタルツールの提案に対しては、紙ベースでの管理にリスクが伴うことは認識しているものの、IT技術の活用にも情報漏えいや災害時の利用可能性など、同じようなリスクがあると認識していると答えました。地域には、災害時の避難支援などの実施を考慮して必要な情報共有の範囲を検討してもらい、複数の方々で管理するなど、地域の実情に合った情報共有をお願いしているとしました。今後、IT技術の進展や地域の意見を踏まえながら、適切な名簿管理の在り方についても検討するとしています。
避難支援については、持ち出し品を代わりに持つことや、実際に支援してほしいことを本人や家族に聞きながら対応するなど、無理のない範囲で対応することが、誰もが無事に避難できることにつながると認識していると答えました。竹中が例に挙げたたんの吸引などに関しては、専門的な知識などを必要としない範囲での取組をお願いすることが本制度の趣旨に沿うものであり、説明の場でも伝えているとしました。今後も地域への説明など機会を捉えて、こうした考え方の周知啓発に取り組むとしています。
危機管理局長兼危機管理監
今回の名簿の地域提供は、市が中心となって進めている個別避難計画の作成と併せ、互いに補完し合いながら要配慮者の避難の可能性を高めていくためのものだと説明しました。市は新しい名簿制度を始める前から「災害時要援護者登録名簿」として制度化し、地域のつながりの中で支援の枠組みを構築してきたとして、地域へのお願いは、これまで継続してきた枠組みの中で無理のない範囲で行いたいと答えました。
一方で、町内会の加入率の低下や担い手不足は、地域の課題であるとともに、市としても非常に大きな課題と認識しているとしました。今回の議会で市民局から答弁があったとおり、来年度、加入世帯や地域特性の異なる団体を抽出して具体にヒアリング調査を行った上で、さらなる支援の在り方を検討すると答えました。危機管理局だけで地域の担い手不足を解消するのは難しいため、そうした動きと連携しながら、SBLの活動をさらに後押しし、協力をいただく体制も構築して取組を進めたいとしました。