7月30日、避難の丘で熱中症搬送 ── 旧荒浜小学校はなぜ避難先から外れたのか
- •本年7月30日、カムチャツカ地震の津波警報時に避難の丘で熱中症の疑いによる搬送者が出ました。震災遺構・旧荒浜小学校はなぜ避難先から外れたのか、「原則徒歩」の避難方針は見直されるのか、竹中委員が市の答弁を追いました。
竹中の質問
決算年度(令和6年度)に、浸水想定の変更に伴う避難の丘のかさ上げが完成した一方、震災遺構・旧荒浜小学校は避難先から外されたことを踏まえ、荒浜地区の避難計画への影響を尋ねました。市の答弁で、荒浜小学校は昨年10月に津波避難施設としての指定を解除され、荒浜地区で津波避難エリア外への避難が困難な場合は北側・南側の避難の丘に避難することになったと分かりました。
その上で、本年7月30日のカムチャツカ地震による津波警報の際、避難の丘で熱中症の疑いのある方が救急搬送された事実を取り上げました。予算等審査特別委員会で「悪天候の日に長時間、避難の丘で待たせることがあり得るか」と問いかけていたことが現実になったと指摘し、当時の状況と課題を尋ねました。また、午後1時半頃に避難者がかさ上げ道路より西側へ避難できたのは災害対策本部の判断があったためであり、その判断がなければ避難の丘に長時間とどまる事態もあり得たとして、トイレ・水・日陰といった環境整備の内容を質問しました。避難の丘は最大6,000人が避難する計画であることに触れ、備蓄物資が6,000人分を想定して検討されているのかも確認しました。
あわせて、津波警報と大津波警報とでは避難行動の目安が異なり(大津波警報は避難の丘までの避難、津波警報はかさ上げ道路より西側まで到達すれば足りる)にもかかわらず、その周知が徹底できていなかったとの答弁を踏まえ、通常の津波警報の場合であれば自動車でエリア2(かさ上げ道路より西側)まで移動しても渋滞に巻き込まれにくいのではないかと所見を尋ねました。
さらに、東日本大震災で多くの住民を救った旧荒浜小学校が津波避難施設から外され、風雨をしのげる避難先が避難の丘に一本化されている現状について、避難の丘での24時間・2日後までの滞在は現実的でないとして、旧荒浜小学校を避難先に戻すべきではないかと質しました。あわせて、原則徒歩とされる中でも高齢者・障害者・子連れなど徒歩では避難が間に合わない人をどう区別し、どう周知するのかも尋ねました。
最後に、南北の交通量に対して東西に抜けるルートが少ないかさ上げ道路がボトルネックとなり、信号停止時には大渋滞が生じ得ると指摘し、アンダーパスなどのハード対策の必要性を述べました。その上で、「想定外」という言葉を二度と使うべきではないとの立場から、原則徒歩を基本としつつも地域の地形・季節・利用実態に応じて徒歩と自動車を組み合わせる柔軟な避難方法へ転換すべきではないかと、危機管理局長の認識を尋ねました。
市の答弁
防災・減災部長
震災遺構・仙台市立荒浜小学校は、令和4年に宮城県が公表した新たな津波浸水想定を踏まえて安全確認を行ったところ、最大想定の津波に対して耐久性を確保できないことが判明したため、昨年10月に津波避難施設としての指定を解除した。専門家の助言のもと、東側の建物を遮蔽物と仮定した上で西側の建物の津波に対する安全性も検討したが、それでも耐力が大幅に不足するという結果になったための解除であり、県公表のシミュレーションは津波が海岸堤防を越えた時点で建物が破壊される条件で行われ、この条件での安全性検討は国・県からも指導されている。これにより、荒浜地区で津波避難エリア外への避難が困難な場合は、荒浜小学校の北側・南側にある避難の丘へ避難することになる。
避難の丘では現在、ベンチの下にアルミシートを防寒対策として備蓄しているが、今回の熱中症搬送や近年の気象状況を踏まえ、飲料水の備蓄を含めた暑熱対策が必要と考えており、備蓄する物資の量については現在検討している。また、津波避難施設整備の基本的な考え方を策定する際のシミュレーションで、大津波警報時に全ての方が自動車で避難した場合は津波到達までの45分以内に避難が間に合わないという結果が出たため、原則徒歩を避難の基本としている。津波警報時に自動車でかさ上げ道路より内陸へ避難する場合の渋滞発生については未検証で、今後新たな浸水想定に基づくシミュレーションの中で検討する予定だが、大津波警報に引き上げられる可能性を踏まえ、現時点では原則徒歩での避難としている。
危機対策課長
荒浜小学校南側の避難の丘では、周辺事業者や深沼海水浴場の関係者等が避難する中、熱中症疑いの体調不良者が他の避難者からの119番通報により病院へ搬送された。それ以外の方については、災害対策本部でヘリ映像を確認しながら、13時半頃までにかさ上げ道路より西側へ避難していただいたと承知している。避難が長期化した場合の暑熱対策と、津波警報・大津波警報の種類に応じた避難行動の周知・啓発が課題と考えている。
危機管理局次長兼危機管理部長
津波警報発表当日、災害対策本部では繰り返し観測された津波が海岸堤防を越えない規模であることを確認し、海面の変動も常に注視していた。その中で、避難した方が当日の暑さの中で長時間避難の丘にとどまることは体調への負担が非常に大きいと判断し、避難の丘から避難するよう促した。
減災推進課長
津波避難は自動車利用に伴う事故・渋滞のリスクがあるため原則徒歩としているが、身体的な条件等により徒歩での迅速な避難が困難な方については、車による避難を考慮していただくこととしている。周知については、津波避難訓練や出前講座、防災ハザードマップの配布などにより引き続き取り組んでいく。
危機管理局長
「想定外」という言葉を使ってはいけないとの考えは市も同様であり、大津波警報時には東部道路より内側への避難が必要になることも踏まえ、全ての方が確実に避難を完了するためには現状では原則徒歩の避難が必要と考えている。一方で、徒歩での避難が困難な方や、沿岸部の集客施設の利用者への配慮として自動車避難を一定程度考慮する余地がないか、今後実施予定の新たな津波浸水想定を踏まえたシミュレーションの中で、曜日・時間・気候などの人流データも活用しながら検討し、避難計画のさらなる改善につなげたい。
この記事は、仙台市議会の議事録をもとに要点をまとめたものです。実際の発言全文は議会ウォッチでご確認ください。
一次情報:2025-09-22 令和6年度 決算等審査特別委員会(第1分科会)
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