市営住宅の高齢化率43.6%、若林区の団地で自治会が解散 ── 町内会に届くのは「部屋番号」だけ
- •復興公営住宅から移行した市営住宅で高齢化が進み、若林区のある団地では自治会が解散しました。竹中議員の質問に対し、仙台市は入居者の高齢化率が43.6%であることを明らかにし、単身高齢者の「安心カード」の情報を町内会と共有することを検討すると答えました。
竹中の質問
東日本大震災を経て整備された復興公営住宅が現在の市営住宅に移行する中で、家賃補助の段階的な縮小などにより働き世代の退去が相次ぎ、多くの住宅団地で高齢化が急速に進行していると指摘しました。現地の声によれば、入居者のほとんどは高齢者で、自治会の運営を担う方々の平均年齢は80代に達しており、将来的な継続が困難だという危機感が広がっています。
地元・若林区にあるある団地では、昨年自治会が解散しました。毎月、学生ボランティアが訪れて高齢者の心のケアを担っていたサロン活動も中止され、深い喪失感が地域に広がったといいます。その後、有志の手により新たな地域コミュニティーが先月立ち上がりましたが、発足メンバーの平均年齢は解散前の自治会よりもさらに高齢になっていると述べました。住まいは単なる箱ではなく地域社会の基盤であり、このままでは地域の活力が衰退し、災害時の支援体制にも支障を来すおそれがあるとして、市営住宅における入居者の年齢構成・高齢化率を示すよう求めました。
その上で、市営住宅は一つのまちであり、高齢の方の比率が高くなることは、そこに暮らす人々の多様性が失われていくことにつながる、まちづくりの視点から見ても健全な状態とは言い難いのではないかとして、副市長に見解を質しました。また、市営住宅については都市整備としての観点が強く、もっと福祉的な観点が必要であるとして、市営住宅における福祉的な取組の開始時期と内容を尋ねました。
続いて、町内会・自治会など地域のコミュニティーの担い手に対しては、市から新規入居の部屋番号のみが提供され、名前や家族構成などの情報は提供されていない実情を挙げました。入居者の名前も家族構成も分からない中で訪問することは「とても怖い」と伺ったこと、退去情報も提供されず、施設入所なのか、転居なのか、あるいは亡くなられたのかも知らされないまま自治会運営が行われていること、現実に孤独死をされていたと後から聞き、単身世帯であったことを事前に知っていればとの声があったことを紹介しました。個人情報保護の重要性は十分に理解した上で、地域コミュニティーの維持や孤立の防止、防災時の対応力確保の観点から、入居時や更新時にあらかじめ情報提供の同意を得ておき、地域団体への必要最小限の情報提供を可能にする制度設計を提案しました。
さらに、東京都住宅供給公社(JKK東京)が都営住宅に巡回管理人を配置し、65歳以上または障害のある入居者世帯への定期訪問、地域包括支援センター・福祉事務所への連絡調整、安否確認への対応、緊急連絡先の把握に加えて、自治会懇談会の開催や広報紙の発行、自衛消防訓練の立会い・助言といった自治会活動の支援まで行っていることを紹介。一方、仙台市建設公社のコミュニティ事業のサイトは、清掃・草刈り・防災訓練・除雪のいずれも住民自身で行うよう記載されており、「公社のコミュニティ事業というよりは、住民がやれと言っているように見える」と述べました。本市においても巡回型・常駐型の管理人制度を調査・研究し、まずはモデル的に導入してはどうかと求め、特に自治会活動への支援を事業内容に入れるべきだと主張しました。
市の答弁
都市整備局長(反畑勇樹)
市営住宅における入居者の年齢構成について、令和7年3月末時点で18歳以下の割合が14.3%、19歳から64歳までが42.1%、65歳以上の割合、いわゆる高齢化率は43.6%であると答えました。
福祉的な取組については、本市の指定管理者である仙台市建設公社が平成23年度から、単身で住まいの高齢者を定期的に訪問し、緊急時の連絡先やかかりつけ医の情報などを「安心カード」に記載してもらっていると説明。安心カードは入居者自身が保管するほか建設公社も控えを保管し、入居者の同意がある場合には、救命活動など緊急時に記載された情報を活用することとしていると述べました。
町内会への情報提供については、現在は氏名などの個人情報を除き、新たに入居される方の部屋番号や入居開始時期のみを知らせていると答えました。しかしながら、コミュニティーの維持や災害時の安否確認などの視点もあるとして、今後、安心カードの情報を町内会に共有することについては、入居者や町内会の意見を踏まえながら検討していくとしました。
巡回管理人制度については、仙台市建設公社は常駐はしていないものの、東京都住宅供給公社と同様に、単身で住む高齢者を職員が定期的に訪問しているほか、福祉事務所との連絡調整、入居者の親類等から要請を受けた際の安否確認、緊急連絡先の把握についても実施していると答弁。引き続き建設公社と連携し、他都市の事例なども参考にしながら、災害時の初動対応にも資するよう、入居者の安心・安全の確保に努めていくとしました。
副市長(高橋新悦)
市営住宅では、19歳から64歳までと、それ以上の年齢層がほぼ同じ割合という状態が続いており、こうした中で地域コミュニティーの活性化を図る上では、やはり若い世代の入居への配慮が重要と考えており、子育て世代や多子世帯の特定枠募集等を行っていると答えました。引き続き、入居時に機会を捉えて町内会等への加入を働きかけるほか、地域活動を助成するなど地域コミュニティーの活性化に資する取組を市としても進めていくことが必要だと述べました。
この記事は、仙台市議会の議事録をもとに要点をまとめたものです。実際の発言全文は議会ウォッチでご確認ください。
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