親に打ち明けられた子は22% ── 「カミングアウトしなくても守られる学校」へ、制服・トイレ・ジャージ登校を問う
- •性に違和感のある生徒からの相談をきっかけに、学校の制服とトイレの在り方を質問しました。教育長は「話してくれるのを待つのではなく、こちらから理解しに行くという姿勢」で取り組むと答えました。
竹中の質問
身体的な性別と自認する性が異なるようだという生徒から相談を受け、特に学校での制服とトイレに違和感があるとの訴えを紹介しました。その上で、こうした児童生徒にこれまでどのような対応をしてきたのかを確認しました。
申し出があれば配慮するという対応に対し、アウティング(他人に明かされること)を恐れる子供は多く、「カミングアウトすれば配慮してあげる」という態度ではいけないと指摘しました。LGBTsへの2016年のアンケートでは、親にカミングアウトできた子は22%にとどまり、いじめを受けたときに先生が助けになったとの回答は13.6%だったことを挙げ、先生の認識を変えていくことと、カミングアウトさせなくてもよい配慮が必要ではないかと問いました。
制服については、ジェンダーレス制服とはどのようなものか、本市の中学校・高校での導入状況を尋ねたほか、ワイシャツの襟が丸いか角張っているかで男女の違いがあることにも違和感があるという声を紹介しました。相談の生徒が「制服はなくてよいのではないか」と話していたこと、竹中自身も高校時代は制服が無かったことに触れ、本市で私服となっている第一中学校について、制服がなくなった経緯、メリット・デメリット、生徒の声を尋ねました。さらに、ダイバーシティーを目指す仙台として、全国に先駆けて公立学校全てで制服をなくしてはどうかと提案しました。
また、相談の生徒は学校に着くとすぐに男女の差がないジャージに着替えていることを紹介し、ふだんのジャージ登校を認めれば全ての子供たちの負担が少し減るのではないかと問いました。
トイレについては、身近な場所に多目的トイレが無い学校での対応を尋ねました。職員用トイレの使用を認める対応では、その子だけが職員用トイレを使うことで、ほかの児童生徒から疑いをかけられることになるとして、当該児童生徒とほかの児童生徒への配慮の均衡を取りながら支援を進めるよう求めました。あわせて、トイレ洋式化の取組が前倒しされたことに合わせ、多目的トイレのさらなる充実を求めました。
日本思春期学会理事で宝塚大学教授の日高庸晴氏によると、10代トランスジェンダーの約72%がいじめを経験し、不登校率は57.7%であることを紹介しました。データから見るとクラスに1人から2人は性の違和感で悩んでいる子がいることになり、その大部分がカミングアウトできずに悩んでいるとして、性に違和感のある児童生徒への取組は「不登校対策の大本命」ではないかと述べました。最後に、自分のことをうまく説明できない子供たちの心に寄り添うことが教員・教育委員会の使命であるとして、いじめのない、多様な個性が輝く時代を開くための教育長の決意を求めました。
市の答弁
教育指導課長
各学校では、本人や保護者の意向などを踏まえながら、自認する性別の奨励服の着用を認めたり、多目的トイレや職員トイレを利用できるようにするなどの対応を行っている。
性的マイノリティーとされる児童生徒が、そのことを可能な限り隠しておきたい場合があることを教職員一人一人が理解するとともに、相談しやすい環境を整え、組織的に対応することが重要と認識している。違和感をどこに覚えるかは様々であることから、教職員対象の研修の機会などを通して、望ましい対応の在り方を周知していく。
いわゆるジェンダーレス制服には、男女兼用のデザインを導入する方法と、スカートやスラックス等の組合せを選択できる方法がある。男女兼用のデザインの採用状況は把握していないが、奨励服を採用している全ての中学校・高等学校で、スラックス等の組合せを選択できるよう配慮している。シャツやブラウスの襟の形やデザインの扱いは学校によって異なり、歴史的・文化的背景により変化してきた部分もあって、ジェンダーや個人の違和感につながることもあるのではないかと考えている。
私服としている公立中学校は、本市を含めまだ少ない。第一中学校では、平成6年頃に生徒から制服の在り方を考える機会が欲しいという声が上がり、学校と生徒会、保護者で話し合いを進め、平成8年に服装を自由化した。当初は「中学生かどうか分かりにくい」「私服はお金がかかる」といった課題も挙げられたが、現在は私服での登校が定着し、服装に関する要望や意見は特に聞かれないとの報告を受けている。
制服の選定や見直しは、生徒や保護者の意見も踏まえた上で、学校において適切に判断すべきものと考えている。教育委員会としては、各学校に対し、多様性に留意し、選定委員会のメンバーにも配慮して十分な協議を行いながら選定するよう指導している。
ジャージ登校は、天候や気候、行事、児童生徒それぞれの事情を基に、各学校が期間や可否を判断している。特にここ数年は猛暑による健康への影響も懸念されることから、各学校でジャージ登校も積極的に認めており、性的マイノリティーとされる児童生徒にとっては、熱中症予防と併せて心的な負担軽減につながっている側面もあるのではないかと認識している。
身近な場所に多目的トイレが無かったり、改修工事等で使えなかったりする場合には、児童生徒や保護者と相談し、例えば職員用トイレを使用するなど、可能な限り希望に応えられるよう配慮している。学校では、その日の体調などにより職員用トイレを使用させることもあり、担任や養護教諭などが職員用トイレの使い方についても丁寧に配慮しながら指導している。人権教育を推進しながら互いの理解を深め、安心して学校生活が送れるよう配慮していく。
学校施設課長
多目的トイレは、現在全ての小中学校の校舎または体育館に少なくとも1か所設置している。通常のトイレより広い面積を要し、設置場所の確保のほか排水設備の切り回しの経路などの確保が必要となることから、引き続き大規模改修の際には体育館への整備を進めるとともに、校舎の増改築の際には各階への整備を進めていく。
教育長
未来のつくり手となる子供たちが夢と希望を持ち、多様な個性を発揮しながら自らの可能性に挑戦する力を育むことが大切であると認識している。本市のいじめ防止等に関する条例の前文に示される、社会全体で子供たちをいじめから守る意識を醸成するとの理念を踏まえ、学校、地域、家庭が連携し、子供たちの豊かな育ちを支える体制づくりに取り組む。教育委員会として、いじめ防止対策を推進しながら、生徒一人一人の多様な状況に最大限寄り添って、話してくれるのを待つのではなく、こちらから理解しに行くという姿勢で様々な取組に努めていく。
この記事は、仙台市議会の議事録をもとに要点をまとめたものです。実際の発言全文は議会ウォッチでご確認ください。
一次情報:2024-09-25 令和5年度 決算等審査特別委員会(第2分科会)
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