市バスの事故は毎年85〜106件──「勝訴しても謝罪がない」被害者への対応を問う
- •市バスでは令和元年度以降、毎年85件から106件の有責事故が起きています。車内事故の被害者が裁判で勝訴しても「市から何の謝罪もない」と心を痛めている実情を示し、事故後の対応のあり方を質しました。
竹中の質問
市バスも地下鉄も大きな累積赤字を抱え、人口減少へ向かう中で、運賃値上げや減便は市民の不利益になります。利便性とサービスを高めて「もっと利用したくなる」公共交通にする必要がある、という問題意識から、まず市バスの事故の状況を伺いました。
交通局からは、令和元年度以降の有責事故について、年度ごとの件数が示されました。令和元年度は106件(うち車内事故29件)、令和2年度は88件(同19件)、令和3年度は87件(同25件)、令和4年度は85件(同26件)、令和5年度は1月末時点で92件(同28件)です。
そのうえで、2019年にバスが乗客の着席前に発車して車内事故が起き、後に裁判となり昨年10月に判決が出た案件を取り上げました。被害者から伺った話として、次のように紹介しました。事故直後は交通局が謝罪に訪れ、仮渡金として5万円が振り込まれた。しかし通院を続けていたところ、仙台市の代理人の弁護士から、治療費の補償は打ち切る、慰謝料は5万円で終了、異議があるなら訴えるようにという趣旨のことを言われた。被害者は名誉のために提訴し、慰謝料は簡易裁判所で8万円弱、地方裁判所で約18万円となったが、裁判費用は20万円以上かかった。勝訴しても、市から何の謝罪もないことにずっと心を痛めている、というお話でした。
この事案について市長の見解を求めるとともに、事故の補償は通常どのような流れなのかを質しました。答弁の後には、被害を与えた事故である以上、補償を打ち切る場合や慰謝料を払えない場合でも、最後まで市の職員がおわびをしながら説明すべきではないかと指摘しました。
さらに、サービス向上の根本には市民から「神対応」と言ってもらえる姿勢が必要であり、それが経営改善にもつながると考えている、として、交通局に限らず全ての行政窓口での対応について市長の方針を伺いました。
市の答弁
交通局業務課長
事故防止の取組として、各営業所での路線ごとの危険箇所の周知、外部講師による事故防止研修、事故を起こした乗務員へのドライブレコーダー映像による特別指導を行っている。新年度からは、事故を起こした乗務員を外部専門機関に派遣し、特別仕様の訓練車両による運転特性の分析や心理カウンセリングを行う新たな取組を取り入れる、と答えました。
当該案件については、令和元年8月3日の車内事故で、乗客が優先席に着席しようとした際、発車したバスの揺れで体をねじる体勢になり、太ももの外側が手すりに接触したものと説明しました。運行担当の営業所が民間事業者への委託であったため、その後の対応は契約に基づき委託事業者と同事業者の加入する保険会社が行い、交通局の担当課長も自宅に訪問して謝罪したとしています。その後、金銭補償の要望や対応への不満が頻繁に寄せられるようになったため、保険会社の顧問弁護士に委任して示談交渉を進めたが、まとまらず、令和2年10月に簡易裁判所へ提訴され、令和4年4月に地方裁判所へ控訴された経緯を述べました。令和4年10月19日に賠償額を約18万円とする判決が出され、判決に基づき賠償金を支払ったとのことです。
事故発生時の対応の流れとしては、まず運行管理職員が被害者に直接会っておわびし、けがの状況や治療方針を伺う。その後、了解を得た上で保険会社が窓口となり補償額や因果関係の確認、示談を行うが、交通局職員と保険会社の間で適時進捗を共有し、説明が必要な場合は交通局職員も対応している、と答えました。
交通事業管理者
本事案は、乗車したお客様が完全に着座する前にバスを発車させたことが原因であると認識している。けがをされたお客様には大変申し訳なく存じている。円満な解決を図るべく誠意を持って対応に努めてきたが、裁判による決着となったことは重く受け止めなければならない、と答えました。また、万が一事故で被害に遭われたお客様には、今後とも誠実かつ丁寧な対応を行うよう徹底するとしました。
交通局次長
事故の際には被害に遭われたお客様に寄り添い、誠意ある対応を行うことが何より大事だと認識している。一方で、補償には事故とけがの因果関係や治療内容の確認が必要で、保険会社など専門機関の関与は不可欠である。そのうえで、保険会社と随時情報共有を図りながら、必要に応じて交通局職員から直接説明を行うなど、誠意ある対応に努めると答えました。
市長
交通局の場合は専門的な保険会社が必要になるという事情もあったと思うが、次長が答弁したとおり誠意ある対応に努める。市民の目線に立って真摯に職務に取り組むことは職員として最も基本的な姿勢であり、市民と直接接する際には相手の立場や意見、思いを尊重し、十分な説明を尽くすことが大切だと認識している。こうした意識の浸透のため、区役所の窓口では外部講師による実地調査を行い、その結果を基に改善を図るなど、行政サービスの質の向上に取り組んでおり、引き続き全庁挙げて取り組む、と答えました。
この記事は、仙台市議会の議事録をもとに要点をまとめたものです。実際の発言全文は議会ウォッチでご確認ください。
一次情報:2024-03-08 令和6年度 予算等審査特別委員会(第10日目)
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