徒歩なら1時間、車なら10分 ── 津波避難「原則徒歩」に見直しを迫る
- •若林区の津波避難エリアIは住民がおらず、深沼海水浴場やフルーツパークなど観光客が中心。車なら10分の距離が「原則徒歩」ルールでは1時間以上になる現実を示し、沿岸37市町村中30市町村が車避難を容認する中での仙台市の対応を質しました。
竹中の質問
消防費・防災対策費に関連し、東日本大震災から間もなく14年となる中で震災の風化を防ぐ必要があるとした上で、津波避難の方法について質問しました。かさ上げ道路より東側の津波避難エリアⅠには住民が住んでおらず、深沼海水浴場やフルーツパーク、バーベキュー会場など観光客が利用する施設が中心であるとして、自身で調べたところ車なら10分程度で避難エリア外に出られる一方、徒歩では1時間以上かかると指摘。震災遺構・荒浜小学校は最大想定の津波に耐久性を確保できないことが判明し令和6年10月に津波避難施設の指定を解除されており、付近の住民は北側・南側の避難の丘へ避難することになる現状を踏まえ、インバウンドの海外観光客に「車に乗らず徒歩で避難してください」と指示しても従ってもらえるのかと、市の認識を尋ねました。
避難行動要支援者名簿が手挙げ方式から自動登載方式に変わり対象者の増加が見込まれることを挙げ、支援の実務を担う町内会・自治会の負担が増すのではないか、また徒歩避難が難しい高齢者・障害者・乳幼児連れを車で避難させないと、支援する側の市民も含めて逃げ遅れるリスクが生じるのではないかと尋ねました。あわせて、要配慮者は車避難が可能とされている根拠がどの資料に明記されているのか、市民向けの「津波からの避難の手引き」等には原則徒歩の記載しかなく周知が不十分ではないかとただしました。
若林区今泉町内会が仙台市に申し入れた、津波警報時の仙台南道路今泉インターチェンジ開放や、仙台南部道路への避難階段2か所設置の要望について、その後の進捗を確認。今泉工場の建て替えに合わせて避難ビル機能が加わることや、入浴施設等の再設置への住民の期待についても質問しました。
避難エリアⅡ(今泉地区を含む)も原則徒歩避難となっている現状に対し、住宅密集地が少なく見通しのよい若林区の地理的特性を踏まえれば、長距離を徒歩で避難するより計画的な自動車避難の方が合理的ではないかと提起。能登半島地震では原則徒歩が推奨されていたにもかかわらず実際には自動車避難が相次いだことを受け、国が徒歩と自動車を区分した避難計画への見直しを2年程度で進めていること、岩手県大槌町・東松島市が2023年に避難計画を改めるなど被災3県沿岸37市町村中30市町村が条件付きで自動車利用を認める方向にかじを切っていることを示し、仙台市も一律のルールではなく地域ごとの最適な避難方法を検討し、避難計画を見直すべきだと迫りました。
山元町が避難道路を11本整備し信号機のいらないラウンドアバウトを3か所設置したことや、工場敷地を車の避難場所として使えるよう協定を結んだ例を挙げました。閖上大橋付近から広瀬川河岸への避難道路整備は現在国の補強工事が行われているものの依然渋滞が収まらない地点であること、また津波想定の変更で新たに津波が届く地域となった仙台若林ジャンクション付近の南部道路高架下から六郷中学校付近までが避難道路として整備されておらずボトルネックとなっていることを指摘し、避難道路の追加を求めました。東北大学災害科学国際研究所・佐藤翔輔准教授の「渋滞になるかどうかを事前に試算した上で車利用の効果を検討すべき」との指摘も紹介し、徒歩と自動車を組み合わせたハイブリッド避難による避難計画の見直しを、担当副市長に求めました。
市の答弁
市長
東日本大震災の教訓を踏まえ、かさ上げ道路や津波避難施設などの整備に加え、避難所ごとの地域版避難所運営マニュアル作成と訓練など、自助・共助・公助一体となった取組を推進してきたと説明。今回の地域防災計画の修正では、頻発化・激甚化する自然災害に備え、避難行動要支援者の支援の推進や避難所環境の改善など重要な見直しを行っており、仙台防災枠組に掲げる優先行動を市民一人一人が実践できるよう防災対策の充実を図る決意を示しました。
防災計画課長
津波避難エリアⅠ・Ⅱとも、原則徒歩でエリア外へ避難し、困難な場合は近くの津波避難施設に避難することが基本と説明。震災遺構・荒浜小学校は令和6年10月に津波避難施設の指定を解除し、付近の住民は北側・南側の避難の丘へ避難することになるとしました。海岸公園等の施設利用者が全て自動車で避難した場合、若林区では避難完了に90分を要し、津波到達までの45分に間に合わないという避難行動シミュレーション結果を示し、原則徒歩避難としている理由を説明。高齢者・障害者等の徒歩避難が困難な方とその支援者については自動車避難も可能としているが、地域防災計画等に記載があるのみで、市民向けの周知資料には強調した記載がないことを認めました。仙台南道路今泉インターチェンジの開放要望については、道路活用に警察等交通管理者との協議が必要であることや、大地震発生時は道路施設の安全確認に伴う通行止めが行われることなど課題が多いと説明。仙台南部道路への避難階段設置要望については、仙台東部道路・南部道路のり面を活用した避難についてNEXCO東日本と協議を進めており、今泉地区からの要望を伝えるとともに市からも要望していると答えました。
環境局長
新たな今泉工場は、現在と同様に水害等からの緊急的な避難受け入れを想定し、管理棟に一時避難の場所を確保するとともに津波避難タワーを参考にした外部スロープ等を設置し、大規模災害時の復旧活動支援拠点としても使用を想定していると説明。入浴施設等については、今後の住民説明会での意見も踏まえ関係部局と検討するとしました。
防災・減災部長
東日本大震災後の津波避難施設整備時に実施した避難行動シミュレーションでは、自動車避難を徒歩が困難な要配慮者等に限定し、その他は徒歩で避難することで避難が完了できることを確認していると説明。地域ごとの徒歩の避難経路設定は有効と考えるが、自動車避難の考え方を地域ごとに変えることは他地域への影響を考慮すると難しいとの見解を示しました。
危機管理局長
避難行動シミュレーションでは自動車避難を要配慮者等に限定することで避難が完了することを確認しているとした上で、令和4年に宮城県が公表した新たな津波浸水想定で浸水が広がったエリアもあることから、避難に要する時間などを改めて検証し、津波避難施設の確保に関する考え方を整理する必要があると説明。避難道路の追加についても、まずは現状のエリアで全ての人が津波到達までに避難を完了できるか検証した上で、必要であれば新たな津波避難施設の確保も含め、避難行動や確保の考え方を整理していく考えを示しました。
高橋副市長
東日本大震災の教訓を踏まえ、津波避難道路・津波避難タワー等の施設整備や津波情報伝達システムなどの情報伝達体制の整備、避難行動の周知など、ハード・ソフト両面の取組を進めてきたと説明。自動車避難について、発生時刻や天候により状況が異なり道路が健常かどうかも分からないため、基本は徒歩での避難と仙台市として考えているとした一方、新たな津波浸水想定を踏まえた避難の考え方の整理を進める中で、専門家の意見も聞きながら、天候や時間を問わず安全・確実に避難できる方法を議論してほしいとの考えを示しました。
この記事は、仙台市議会の議事録をもとに要点をまとめたものです。実際の発言全文は議会ウォッチでご確認ください。
一次情報:2025-03-05 令和7年度 予算等審査特別委員会(第8日目)
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